顔のあかみ・タクロリムス軟膏

最近は成人になっても治らない患者さん(成人型アトピー性皮膚炎)が増加しています。成人型アトピー性皮膚炎は、顔全体があかくなり、カサカサして痒みがつよいのが特徴です。

この症状にステロイド軟膏を使用すると、しばらくは効果がありますが、長期間使用すると、ステロイドの副作用としてのあかみや血管拡張が見られます。皮脂の分泌の多い方は、あかみだけではなく、ニキビも出てきます。この様な状態をステロイド皮膚症、または酒さ様皮膚炎を言います。

顔面のあかみが強い場合は、ステロイド軟膏を中止する方向で治療することになります。

急にステロイドの使用を中止すると、顔の湿疹が急に悪化し、眼の合併症(網膜剥離、白内障)を起こすことがあります。当院では漢方薬と痒み止めを併用し、慎重に減量します。時にタクロリムス軟膏を使用し、眼合併症を起こさないように最大限の配慮しています。

タクロリムス軟膏は、平成11年に発売になった新しいタイプの免疫抑制剤の軟膏です。 T細胞の活性化を強力に抑える作用があります。T細胞が、抗原刺激により活性化される初期段階に作用して、強力な免疫抑制作用を発揮します。

顔面にステロイド軟膏を長期に使用すると、副作用が出ることが多いので、最近はアトピー性皮膚炎の顔面には、タクロリムス軟膏が使用されます。

タクロリムス軟膏の問題点として、炎症が強い部位や、引っ掻き傷がある部位に使用した場合、ほてり感やヒリヒリ感など特有の刺激感が認められることがあります。この刺激感は、一過性で皮疹の軽快とともに通常2~3日で消失しますが、刺激感が強くて使用できない事もあります。炎症を抑えてから使用するなど、塗り方に工夫が必要です。

副作用として、ニキビが出やすくなりますので、湿疹が治まったら使用を減らす必要があります。ステロイド軟膏使用中止後に見られる急性増悪(リバウンド)は、ほとんどありませんので、徐々に使用を減らすことができます。多くの場合、プロトピックを使用しなくても、皮膚をよい状態に維持する事が可能です。