ビオチン

私達の腸内には100兆個、300種類以上の細菌が定着していて、様々なビタミンを作っています。私達はそれを腸から吸収して利用していますので、見かけ上欠乏を起こしません。しかし、「悪玉菌」の勢力が優位になると、腸内で作られたビタミンを消費して、ビタミン欠乏が起こるようになります。

ビオチンは、ビタミンHとも言われ、ビタミンB群に属す水溶性のビタミンです。欠乏すると皮膚疾患を起こすことが以前から知られていました。最近の研究では、 ビオチンが欠乏すると、Tリンパ球の抑制細胞が活性化しなくなると報告されています。その結果、抗体作りに歯止めがきかなくなり、過剰になった抗体が皮膚や骨膜に沈着して、掌蹠膿疱症掌の原因になると推測されています。

ビオチンも、やはり腸内で作られ吸収されます。ビオチンは多くの食物に含まれていますが、蛋白質と結合した形になっているので、腸からは吸収されません。腸内細菌が作ったビオチンは、蛋白質と結合していない遊離型なのでこれだけが吸収されて利用されます。

次のような時にビオチンは欠乏します。

  • 下痢が続いたり、抗生剤を長く使用した場合
  • 脂肪の多い食生活などで腸内細菌の構成が悪玉菌優勢の場合

また、掌蹠膿庖症の患者さんの便から乳酸菌が大量に検出されるという報告があります。乳酸菌は腸内で乳酸や酢酸を作って、「悪玉菌」の繁殖を抑制する「善玉菌」と考えられており、整腸剤としても利用されていますが、ビオチン欠乏を促進する可能性があります。乳酸菌が善玉菌か悪玉菌かの結論はまだのようですが、掌蹠膿疱症の患者さんでのビオチン欠乏には関与していると思われます。